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てんとうさんの里帰り・・by 中山

放し飼いにもほどがある!

こんにちは、中山です。

今回は、5月にアップした「本末てんとう大作戦」の続編です。
あれから、てんとうの幼虫さん達はどうなったのだろうと、気になっていた人も多いと思います。

前回の記事では、アブラムシを退治するために、飛ばないてんとうの幼虫さんのお迎えを検討している時に、その幼虫さんがひもじい思いをしないようにアブラムシの数を増やそうと、本気で考えられた伊藤先生の、優しすぎる本末てんとうっぷりをお伝えしました。

ですがその後、日が経つごとに幼虫さんは減っていってしまったのです・・・。

そして一週間が経った頃には、幼虫さんの姿が、ほとんど見られなくなってしまいました。確かに、アブラムシの数も少なくなってはいたのですが、謎は深まるばかり・・・。

どれだけ探しても数匹しか見当たらず。
「おかしいな? もっといるはずなのに」「見つけられないだけかな? でも、こんなに見つからないのって・・・」と、先生も僕もモヤモヤしていました。

ですが、よくよく考えてみれば、それもそのはず。
飛ばないてんとうさん達はもともと、ビニールハウスなどの施設内で栽培されている野菜を、アブラムシから守るための助っ人なんです。それを普通にベランダに放ったのですから、どんどんいなくなってしまうのは当然といえば当然のこと。

ところが伊藤先生は、ほとんどの幼虫さんがいなくなってようやく、「そうか、このてんとう達は飛び去ってしまうことはなくても、歩いてどこかに行ってしまうことはあるんだね・・」と、気付いたのです。

そうです。てんとうさんに優し過ぎた先生は、今度は、てんとうさんを自由にさせ過ぎてしまったのです。言ってみれば、究極の放し飼い状態だったわけです。

そしてある日、伊藤先生はある光景を目撃されました。それは・・・

ベランダのコンクリートの上を力強く歩きながら、去って行こうとする幼虫さんの姿でした。
伊藤先生の目には、その後ろ姿がまるで、「あばよ!」と、背中に唐草模様の風呂敷包みを背負って去っていくように見えたのだそうです。
ひと仕事(アブラムシ退治)を終え、旅立とうとしている幼虫さんの姿を見て、先生は悟ったのでした。想像していたよりもずっと、幼虫さん達はたくましく、自立しているのだと。

きっと、新たなアブラムシを求めて、このマンションのベランダからベランダへと、旅していくのだろう。そして辿り着いた先で、またアブラムシを食べるのだろう。その力強い去りっぷりから先生は、「そうに違いない」と確信されました。

そうして先生宅のベランダからは、どんどん幼虫さんが姿を消していきました。
本来なら、さなぎになるであろう時期を迎えても、さなぎは発見できず、みんな他の家のベランダにアブラムシを求めて巣立っていったのだろうと思っていたら・・・

なんと!

先日、先生はベランダで、成虫の姿をしたナミテントウさんを見つけたのです!

テントウコンクリート


それは、普通のサイズのてんとうさんと比べたら、その半分くらいの、とても小さな子でした。
しかもその子は、発見された場所と、歩いてきた方向からして、他のベランダから移動してきたとしか考えられない、「里帰りてんとうさん」だったのです。

先生は、里帰りてんとうさんを、そっと紙ですくって、アブラムシのいるプランターに移しました。

てんとうさんの顔


数日間、その子はそのプランターに滞在していました。

ですがある日、やはりまた先生は目撃されるのでした。ベランダのコンクリートの上を、力強く去っていくナミテントウさんの姿を。
その後ろ姿を見た先生は、「引き留めてはいけない」と、静かに見送られたそうです。

その後、小さなあの子はどうしているでしょうか?
今も元気にマンション中のベランダを、アブラムシを求めて移動しているのでしょうか?
真っ黒な体に赤い斑点二つ。小さな、小さな、その姿は、とても愛らしく、可愛らしく、尊いものに見えます。

伊藤先生のひらめきから始まった、「本末てんとう大作戦」は、小さくてもたくましいてんとうさん達が織りなす、切なくも心温まるドラマとなりました。

きっと今この瞬間も、てんとうさん達は、どこかのベランダでたくましく生きているのだと思います。


中山 寛士
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