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ゾウちゃん物語・・by 中山

本末てんとう大作戦{番外編}宇宙に救われた虫

みなさん、こんにちは。中山です。
今日は、てんとう大作戦の番外編です。

そうなのです。実は、てんとう大作戦には、それにまつわるサイドストーリーがいくつもあるのですが、その中でも「ゾウちゃん」なる子の存在は忘れられません。

そう、あれは先生がてんとうの幼虫さんを、はじめてベランダのプランターに放した時のことでした。
先生と僕が、放したばかりのこの幼虫さんたちがどうなっていくのだろうかと、期待と不安に胸おどらせていた時、先生はふと、ハコベにとまっている何やら得体の知れない、茶色い昆虫を見つけられました。てんとうの成虫と同じくらいのサイズのその虫は、かわいいとは言い難い、なんとも怪しい姿をしていました。

ゾウさん小さい

「この子ってもしかしたら、幼虫さんに悪さする子かしら?」
先生は、発見したその茶色い子に、語りかけはじめました。
「あなたって、幼虫さんをいじめる子?」

てんとうの幼虫さんをプランターに移すために作った棒で、先生はその子をコンクリートの上に乗せてみました。
するとその子は、七転八倒。大慌てで逃げようとしました。

その様子を見た先生は、益々いぶかしまれ、大慌てのその子を棒の先端に乗せてベランダの手すりから外に出し、その子に語りかけられました。
そこはマンションの最上階でした。

危機一髪

まさにその時の様子。(右の箸の先端にいるのが、怪しい昆虫です)

先生 「ねえねえ、あなたは悪いことする子?」
容疑虫 「僕、悪いことしません」
先生 「だって見つけちゃったんだもん。幼虫さんに悪いことされちゃ、嫌なのよ」
虫 「僕、悪い事しません。いい子にします。だから、戻してください」
先生 「大丈夫よ。あなた軽いし、ここから落ちても死なないから、絶対。大丈夫」
虫 「え~~~っ!? そんな~~~っ!! どうか、落とさないでください。僕が何をしたっていうんですか?」
先生 「まだ何もしてないわね。でもね、するかもしれないじゃない」
虫 「そんな、ひどいです。僕、何もしません。どうか、どうか許してください。」
こんな調子で、先生のアテレコが始まりました。

その茶色い子は、さっきまで大慌てだった様子とは一変して、棒の先っぽの方で、じい~っと微動だにせずに固まっていました。
その様子と、先生の一人二役のアテレコが、ものの見事にマッチしていて、僕は側でお腹を抱えて笑っていました。
でもその様子から、この茶色い子は、自分が置かれている状況を本当に分かっていると感じました。

話しかけているうちにその子のことが少しかわいく思えてきた先生は、その子のくちばしが、まるで花の蜜を吸うような形にも見えた事から、「もしかしたら、この子はてんとうの幼虫は食べないのかもしれない。調べてみて」と仰いました。
僕は、その場でスマホで調べてみました。

この世の中に、あまたある昆虫の中から、この子がどんな種類の虫なのかを調べ上げる事は容易ではないだろうと思っていましたが、昆虫のサイズと色とで検索するサイトがすぐに見つかり、なんと! 一発でヒットしたのです!!

その子は、「ゾウムシ」である事が分かりました。そして、ここからが運命の分かれ道・・・、ゾウムシが食べるものはといったら・・・
「牧草」と出ました

それを聞いた先生は、「そうだったの。ごめんなさいね。濡れ衣着せちゃって。でも、心配だったのよ」とゾウムシさんに話しかけられ、ベランダのコンクリートの上に戻してあげました。

そうしたら、ゾウムシさんは死んだふりをするほどの怯えようで。いえ、もしかしたらあまりの恐怖に、本当に気絶していたのかもしれません。
先生はそんなゾウムシさんに、「もう大丈夫よ。ここにいていいからね」と、優しく語りかけられ、お詫びのしるしにプランターから摘んだハコベをプレゼントされました。

それからというもの、ベランダに出るたびに毎日、先生はそのゾウムシさん(先生命名で「ゾウちゃん」)を見かけるようになりました。

その一件以来、ゾウちゃんは、先生がカメラを構えてすごく側まで寄っても慌てることなく、さらに、ひっくり返っているところを先生に起き上がらせてもらっても、安心した様子でいることから、先生は、ゾウちゃんと確かに心が通い合っているのを感じたのです。
ゾウちゃんは、ここに居る事を許されたのだと分かっているようでした。

ゾウちゃんが冤罪によって、マンションの最上階から落とされてしまうかどうかの瀬戸際に、一発でその正体が検索出来たことが、「まるで宇宙の采配だね」と、先生は仰っていました。

初夏のひと時、てんとうの幼虫さんと共に、ゾウちゃんはしばらく先生宅のベランダに滞在し、先生と心通わせながら過ごしたのです。


中山 寛士
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