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医師として、人として・・by 谷川

理想のケアを求めて

はじめまして。リーダー養成コース生の谷川徹也と申します。あ~スカblogに初めて記事を書かせていただくことになり、喜びと緊張で、どきどきしています。私はコース生になり二年目になりますが、普段は、私を伊藤先生に引き合わせてくれた、井出広幸さんが院長を勤める信愛クリニックで、心療内科の医師として勤務しています。

私が医師を志したのは、18歳のときでした。「人に関わる仕事がしたい」と漠然と思っていたのですが、せっかくやるならば命を懸けてやれる仕事を、と思い医師になることを決め、二浪の末、念願叶って医師になることが出来ました。

私の中での医師のイメージは、「困った時に頼れるヒーロー」でした。倒れている人がいれば必ず助けに行くし、困っていることがあれば身体だけではなく、心のことも、さらにその人の人生のことだろうが何でも関わって解決していくような医師になるんだと思っていました。そんな情熱をもって医療の世界に飛び込みましたが、実際の医療現場では、目を疑うような酷いことがたくさん起こっていました。

認知症で何も話せず、意思も確認できないのに、胃に直接栄養を入れられ、体が固まったまま生かされるお年寄り。病気が治癒する見込みが無いのに漫然と点滴だけをされ、どんどんやせ細っていく患者さんと、それを悲しそうに見ている家族。不安そうにしている患者さんを前にして、「癌ですね」とあっさり告知し、ショックを受けている患者さんの思いに耳を傾けることもなく、淡々と抗癌剤治療の説明をする医師の姿‥。
まるで患者さんを物扱いするような態度に怒りを覚えることが何度もあり、「絶対にああはなりたくない」という思いを強くしていきました。そして、「自分は医師として、患者さんが人であることを絶対に忘れまい」と誓いました。

初期研修を終えた私は、患者さんを人としてトータルで診ることができるようになるために、救急と内科の修行を積むことにしました。ですが、医師としての実力がついてきて、いざ自分のやりたい医療をやろうと思ったとき、そこで大きな壁にぶつかりました。患者さんの心の問題や、その人が生きてきた中で抱えてきた問題を前に、全く太刀打ち出来なかったのです。不治の病を抱えた患者さんが、「何でこんな病気になっちゃったんでしょうね‥」と言う度に、その場から逃げ出したいような気持ちになりました。

また後輩を育てる中でも行き詰まっていました。教育担当だったにもかかわらず、後輩の心ない言動を叱ることもできず、また、後輩から「こうなりたい」という意志を示されてもうまく導く事もできず、私は教える立場にありながら全く成り立っていませんでした。

さらに、プライベートでは、婚約していた彼女との間にトラブルが起こったことをきっかけに、ばっさり関係を断ち切るという無情なことをしてしまいました。その後、そのことを酷く後悔していたときに出会ったのが、伊藤先生のご著書『ネガティブを愛する生き方』でした。井出さんが主宰していたセミナーに参加した際に、井出さんから先生のご本を薦められたのです。

先生のご著書を読んだときの衝撃と言えば、それは凄まじいもので、目から鱗がぼろぼろと落ちるようでした。何故私が人の抱える問題に対峙できないのか、何故人と人間関係が作れないのかが分かってきて、先が見えずに行き詰まっていた私にとって、一筋の光が見えたようでした。
このままではいけない、変わらなければ、という思いに突き動かされた私は、ワークショップに参加し、先生と初めてお会いしました。先生は真剣に私の話を聞いて下さり、核心を突くご指導をして下さりました。そして、先生のもとで自分を変えるために本格的に学びたいという思いがさらに強まり、コース生になったのです。

ですが、コースに入れてはいただいたものの、最初は全く歯が立ちませんでした。それまで医師という肩書だけで人生を生きてきた自分が、人としてどれだけ薄っぺらく、プライドの塊で、言い訳ばかりして生きてきた人間なのかということが露呈し、そんな自分をとても受け入れられず、逃避を重ねました。
先生が何度も軌道修正して下さったことで、ようやく逃避から抜けることが出来るようになり、自分をオープンにすることや、感情を表現すること、まっすぐに相手の話しを聞くことなど、ずっと自分が苦手としていた心の通ったコミュニケーションが徐々に出来るようになりました。また自分と向かい合う中で、これまで経験してきたことが人生でどういう意味を持っていたのか、自分が生きている意味は何なのかも少しずつ分かるようになってきました。

コースに入り一年ほどが経った頃には、患者さんに対する自分の在り方が全く変わっていることに気がつきました。患者さんの抱える重い問題に人として相対できるようになり、患者さんとの繋がりも深くなりました。身体に表れている症状をケアするだけではなく、患者さんの気持ちや意思を尊重し、本人が本当に望んでいることを叶えられる医療を実践できるようになってきたのです。また、コミュニケーション力が身についたことで後輩との関係性も良くなり、進路や、家族のことまで相談されるようになるなど、それまでには無かったような人間関係が築けるようになりました。

私は、もっと心の問題に深く関わっていきたいと思うようになり、それまで勤めていた病院を辞め、今年6月からは、伊藤先生がコンサルを務めていた信愛クリニックで心療内科医として働くようになりました。今は、患者さんの心の問題に向き合うなかで、日々患者さんから様々なことを教わっています。

伊藤先生と出会ったおかげで、私はこうして大きく変わることができました。伊藤先生と接していると、先生は本当に感情を豊かに表現され尽くしていて、その言動には矛盾が一切なく、本当の愛を体現されている人とはこういう方なのだとつくづく感じます。
そんな伊藤先生のもとで、学ばせていただけることは本当に幸せなことです。これからも先生のご指導のもと、精進を重ねていきたいと思います。


谷川徹也
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