両輪の花、満開!さあ、3daysセミナーの興奮は、まだまだ続きます。
前回の記事にもあったように、さやかの写真撮影でベストショットをほぼ独占した私、宮地文也に3daysセミナーで何が起こったのか?
私が、なりたい自分として最初に掲げたテーマは、「アウトロー」。
地元の進学校から医学部に進み医師となった私ですが、”お医者さん”の枠から外れて、俺は俺だと主張できる自分になりたかったのです。ハードロックバンドのミュージシャンをイメージして、革ジャン・革パンに身を包み、髪もオールバックにまとめ、さあ撮影開始!

このふてぶてしさ。なかなかいい感じ。このまま順調に撮影が進むと思いきや‥、
「面白くない‥。ぶんって、ちょい悪オヤジになりたかったんだっけ?」と、先生がぼそっと話されました。みんなが苦労している表情づくりも難なくクリアし、このまま特段のチャレンジもなく進行しそうなことを、先生はつまらなく感じたのでした。
撮影を中断し、先生が時間をかけて私から引き出してくださったのは、「自分を100%生きたい」という思いでした。そして、先生からの「ならば全力100%で生きているあなたが、これであってこそ自分だ!と思えるものは何?」との問いに、ためらいながらも泣けてきて、腹の底から絞り出すように出た言葉は‥、なんと「愛」でした。
そうです。革ジャン・革パンで悪ぶってみた私が本当になりたかったのは、実は「愛の体現者」だったのです!!
そして、先生に「あなたが本当に愛おしいと思う存在は?」と聞かれて、即座に答えたのは「家族」でした。

そのなかでも長男が未熟児で生まれたとき、私の広げた両手に頭から足まで乗ってしまうほど小さい息子に、たとえ様のない命の重みを感じ、父親としてこの子を絶対守るのだと強く心に誓ったことを涙ながらに話しました。

それは、先生をはじめその場にいた全員が涙するほど、私の思いが100%込められた話でした。
泣き腫らした目を落ち着かせた後、愛情や温もりを表現するにあたって革ジャンを脱ぎ、あえてその日に着ていたヨレヨレのパーカーに着替えて撮影を再開しましたが、父親として家族への愛をいくら表現しようとしても、どうしてもぶすっとぶっきらぼうな表情になってしまいます。
そこで先生は、「父性がだめなら母性を表現したらどうか」と仰いました。私がこれまでに時折、女性的なやわらかい表情で笑うことに気付いていてくださったのです。グッドタイミングで、音響係の慶司が、それまでロックだったBGMを童謡に変えると、その場の雰囲気は幼稚園に一変。それまで忘れていましたが、私は実は保育士になりたかったことを思い出しました。
そこで登場したのが、先生のチャイルド人格「メイちゃん」。バイキンマンのぬいぐるみを手にして、「ぶん子せんせー、どうしてバイキンマンやっつけられないの?」「なんで? どうして?」と質問攻めに。メイちゃんからの難問にたじたじとなりながら保育園の先生になりきって答えるうちに、人を愛おしく思う気持ちが私の心のなかで、ぶわっと一気に拡がるのを感じました。そうして、私のなかの母性が十二分に引き出されたのが、この写真です。

自分で見ていても、にっこりと微笑みがこぼれて胸の奥から温かくなります。
そしてこの撮影後、次は一変して、男性性に属した激しい怒りの表現への挑戦です。先生は、「あなたの愛に基づく怒りは、何に対しての怒りだろうか」と問われました。しかし、はじめは何かに対して怒ろうにも、どこを探しても出てきませんでした。最終的に私のなかから出てきたものは、先生のもとで学びながら何年経ってもぱっとしない自分自身に対する猛烈な怒りでした。

いい加減にしやがれと、自分への怒りをひたすらカメラにぶつけ…、

腹の底から吠えて、

吠えて、

吠えまくり…、
そして、
昨年末の記事でもご紹介した、最も票を集めた一枚に繋がったのです。

たった1日、それも、ほんの1時間ちょっとの間に、自分のなかの女性性と男性性が一気に開花したことで、これまでびくともしなかった心の内側にある固い殻が割れて、ぷりっぷりのむき身の自分が出てきたような、そんな感覚を覚えました。
そして迎えた3days最終日。はじめはカメラに自信が持てず、レフ板(光を被写体に当てる装置)担当でこっそり撮影に参加していましたが、先生が誘導される言葉によって一瞬で変化するさやかの姿を目の当たりにして、これを撮らなくてどうするんだ! との強い衝動に駆られたのです。そのような衝動を感じたのは、これまで生きてきて初めてのことでした。すぐにレフ板担当を交代してもらい、そこからは夢中で、ひたすら衝動に任せてシャッターを切り続けました。そして、先生から「ぶんのカメラだけがさやかの目力を捉えてる」と評していただいたほどのベストショットを連発できたのです。
3daysセミナーの後、医師として日々仕事をするなかでも、患者さんを愛おしく思う気持ちがハートからあふれてきて、どうしたら一番その人らしく生きられるのだろうと、相手のことを自分のことのように真剣に考え、わかりやすく伝えようとする自分に変わったことを感じています。患者さんからも「身近で、なんだか柔らかい雰囲気になった」と言われるようになりました。
先生プロデュースによって満開となった男性性と女性性。これら両輪の花を手に、人を真剣に思いながら自分を生きる。そう歩んでいきたいと思います。
宮地 文也